2010年03月24日

悪い体脂肪

 「ただの脂肪の塊。たまってほしくない、厄介なもの」と思われがちな体脂肪だが、実は体に様々なシグナルを送り、代謝をコントロールしている。体脂肪はいわば「エネルギー貯蔵庫をかねた一大情報発信基地」(東京逓信病院内科の宮崎滋部長)といえる。

 例えば「もう十分に脂肪がたまっているから、食べる量はほどほどに」「エネルギーが足りないみたいだから、ためておいた脂肪を燃やそう」「血管に傷があるから修理して」といった、健康維持に欠かせないシグナルを出す。これが「いい体脂肪」で、太りにくい元気な体をつくり、動脈硬化や糖尿病といった病気の予防にも役立つ。

 ところが、こうしたいいシグナルが出にくいどころか「(十分体脂肪があるのに)もっと食べて体脂肪を増やせ」「アレルギー反応を起こせ」「疲れさせろ」といった、うれしくないシグナルを出す「悪い体脂肪」もある。つまり「体脂肪の機能には、善悪の両面がある」と東京医科歯科大学難治疾患研究所の小川佳宏教授は話す。

 いい体脂肪か悪い体脂肪かを左右するのは、まず脂肪の量だ。体脂肪が多すぎると、食欲の調整や脂肪燃焼にかかわるシグナルがうまく働かなくなり、さらに太りやすくなる。つまり肥満気味の人では、悪い体脂肪が多くなる悪循環が起こる。次に、急にやせて体脂肪を減らしても、悪い体脂肪ができるので注意を(下の注意参照)。ダイエットとリバウンドを繰り返している人は要注意だ。悪い体脂肪をいい体脂肪に変えたいなら、「ゆっくりと減量することが大切」と宮崎部長はいう。

 いい体脂肪がつくと、しっかり食べても太りにくく、病気知らずの元気な体になる。

注意!
急激なダイエットも悪い体脂肪を増やす

「脂肪の量が多いのが問題なら、すぐに体脂肪を減らそう!」と急いでダイエットするのはちょっと待って。体は「飢餓への危機感にさらされると、生存に有利なように体脂肪をためこもうとする」(小川教授)。つまり食べる量を極端にセーブすると、「このままでは栄養不足で死んでしまう! 体脂肪をたくわえろ!」と、体は脂肪ためこみモードになる。つまり「悪い体脂肪」がたまってしまう。

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「いい体脂肪」を作って維持するには、
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とる油の種類を選ぶことと雑穀を食べることが重要なのだ。
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 「やせたいなら食べなさい」という内容の本が米国で売れている。230万部を超えるベストセラーになった『食べてやせる人 食べないで太る人(原題:You on a diet)』(東京書籍)がそれ。この本では「脂肪との戦いの最大の兵器は(略)、よい食べ物」「体が本来の機能を果たせるような食べ物、空腹感と満腹感をつかさどるホルモンの分泌をうながす食べ物」だと強調する。

 では、「いい体脂肪」を作り、維持する「よい食べ物」とは何か? まずは油。油には、「飽和油」、「n3油」、「n6油」などのタイプがある(右下イラスト参照)。現代の食生活は、n6油や飽和油をとりすぎていて、n3油が不足しがちになっているのが特徴。このアンバランスが肥満や動脈硬化、アレルギーを招いている。つまり、とる油の種類が問題だ。

 n6油を減らしてn3油を増やすと「アトピーの子供の肌が、きれいになっていく」と話すのは銀座サンエスペロ大森クリニックの大森隆史院長。n3油には「いい体脂肪」を優勢にし、「悪い体脂肪」の影響で起きるトラブルを防ぐ働きがある。

 油は、すべての細胞膜に含まれる大切な栄養素。細胞内に栄養をとりこみ、細胞外に老廃物を出すうえでも重要な機能を果たす。日々どんな油をとるかは、全身の代謝にかかわる大問題だ。

 ただし、油をとりすぎないことが大前提。揚げ物、脂肪分の多い肉、洋菓子は控え目に。

 そしてもう一つ、主食に雑穀ご飯を取り入れてみよう。雑穀には「悪い体脂肪」が作る過酸化物から体を守る抗酸化物質や、「様々な代謝にかかわる、マグネシウムなどのミネラルも豊富」と東京慈恵会医科大学の横田邦信准教授。マグネシウムは、「いい体脂肪」から出て血管を修復するシグナル「アディポネクチン」を増やす作用も持つ。

「いい油&雑穀」で、「いい体脂肪」に!


注意!
油のとりすぎにならないよう、油は“置き換え”て

「いい体脂肪」にするために、いい油(n3油)は積極的にとりたい。ただし、「油のとりすぎ」にならないことが大前提。

 n3油を多めにとった分、n6油や飽和油の量を控えめにしよう。調理用油を置き換える、肉料理を減らして青魚料理の登場回数を増やすなど、工夫を。




オリーブ油は何油?
健康にいいといわれているオリーブ油は「n9油」という分類に入る。必ずしも食事からとる必要はない油だが、悪玉コレステロールを下げるオレイン酸や酸化を防ぐポリフェノールが豊富だ。調理用のn3油(シソ油、亜麻仁油)は、酸化しやすく加熱に向かないので、加熱調理にはオリーブ油を使うのも手。


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魚を食べたり、間食で食べるものに気を付けたり、
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調理用の油に気を付けたりすることで
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いい体脂肪の味方になる食材をとるようにしよう。
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 「いい体脂肪」の味方になる食材を紹介しよう。n3油をたっぷり含む食材の代表が「青背の魚」。小川教授らは、n3油の構成成分、EPA(エイコサペンタエン酸)を肥満患者52人にのみ続けてもらい、2週目以降に血中アディポネクチン(「いい体脂肪」が出すシグナルの一種)の値が上昇することを確認している。


カロリーはほぼ同じ約260㎉のブリと豚バラ肉を比較すると、ブリは豚バラ肉と比べて、総脂肪量が約半分。なのにn3油は34倍も多くとれる。
(データ:五訂増補日本食品標準成分表)


 魚は、肉に比べて、油の摂取量が抑えられるし(右グラフ参照)、その内訳を見ると、とりすぎたくない飽和油もn6油も少なめと、いいことずくめ。肉の栄養も体に必要だが、気が付けばいつも肉を選んでいるという人は、もっと魚を食べよう。

 次に、見直したいのがついつまんでしまう間食の内容だ。クッキーやケーキ、チョコレートなどは、油を食べているという意識より、甘い物を食べているという意識が強いかもしれないが、実は飽和油をたっぷりと含んでいる。

 小腹が空いたら、「いい体脂肪」の働きを助けるミネラルや抗酸化成分がたっぷりのナッツ類をつまもう。食物繊維が豊富でかみ応えもあるので腹持ちがいい。クルミならn3油のα(アルファ)リノレン酸も多めだ。

 油といえば、見逃せないのが調理油の影響だ。炒め物や揚げ物によく使われるサラダ油(大豆、紅花、コーンなどの油)は、とりすぎたくないn6油。外食がちな人は、知らず知らずのうちにn6油のとりすぎになってしまう。できれば自宅ではαリノレン酸が豊富なn3油に変えてみよう。

 店頭では「シソ(エゴマ)油」「亜麻仁(あまに)油」と書かれている商品を選ぶといい。ただしn3油は酸化しやすいため、加熱には不向き。

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日本人が昔から親しんできた雑穀をとると、いいことがたくさん。
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まずは1日1食の雑穀ご飯から始めてみよう。
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「日本人が、雑穀を食べなくなった1960年代から、生活習慣病が増えた」と指摘するのは、横田准教授。下のグラフでも一目瞭然(りょうぜん)! 雑穀(全粒穀物)の摂取量が落ちると同時に脂肪の摂取量が増え、糖尿病患者も増え始めた。60年代といえば東京オリンピックの前後。一般家庭の食卓にも、欧米化の波が押し寄せたころと一致する。

 もうひとつ、「悪い体脂肪」をやっつけるのに有効なのが、雑穀の持つ抗酸化パワーだ。米ぬかや小麦胚芽(はいが)に豊富なフェルラ酸(IP6)という成分は、油の酸化を防ぎ、悪い体脂肪が招く不調を取り除いてくれる。

 雑穀の抗酸化パワーは、がんの抑制作用でも注目されていて「体のあちこちで生じる不調のもとを取り去る働きを持つ」(大森院長)。この抗酸化成分は特に胚芽の部分に多いので、胚芽付きの雑穀を選ぶといい。

 また、雑穀の食物繊維量は、例えば胚芽押し麦で白米の20倍! 腸からきれいにしてくれる。しかも、油はほとんど含まないから、パン食に比べて油の摂取量を大幅カットできる。

 魚、雑穀、木の実──。これらはまさに、日本人が古来から慣れ親しんで食べてきたものばかり。日本の伝統的食事こそ、「いい体脂肪」の味方。まずは1日1食の雑穀ご飯から始めてみよう。




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いい油と雑穀生活をするとどのような効果があるのか。
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6人の女性が実際にチャレンジした。さて結果は?
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いい油&雑穀生活を6人の女性が試した。

 そのうちの4人に登場してもらった。太めではない人もいるが「お腹ポッコリが気になる」「ダイエットしてもやせにくい」という悩みが共通点。2週間後、血中レプチン量が下がり、なかにはお腹まわり5p減の人も。「肌がしっとりしてきた」「便秘が解消した」と声を弾ませた。

 特に良い結果となったのはK・OさんとM・Eさん。「成人女性では約5〜10 ng/㎖」(宮崎部長)が適量とされる血中レプチン量が、この2人は多めだった。それが、“いい油&雑穀”で見事、数値が下がった。「レプチンが出すぎて効きにくい状態から、レプチンが適度に出てよく働く状態へと改善した結果」と、宮崎部長は分析する。

 ここに登場していない2人も、疲れやすい、冷え性、肌が荒れる…といった不調が改善したというが、その喜びのテンションは前の4人よりは低め。やせ型で、もともとの血中レプチン量が約2ng/㎖と少なく、“正常”だったせいかもしれない。

 いい油&雑穀を取り入れる食事は「お腹ポッコリ型で太りやすくて、不調を抱えている人」に効果的といえそうだ。

実験内容
20〜40代の女性6人の読者モニターが、青魚や亜麻仁油、シソ(エゴマ)油を使った料理と、雑穀ご飯を、それぞれ1日1回以上食べ続けた。間食はナッツ中心で、それ以外は控えめにした。実験初日と2週間後に採血し、血中レプチン量を測定。期間中は、1日の食事内容、下腹周りのサイズや体重、体調などを記録した。

血中レプチン量って?
 体脂肪から分泌されるレプチンは、体脂肪量に比例して多くなる。「レプチンは正常な代謝のために必要だが、増えすぎるとかえって効かなくなり、食べすぎや不調の原因になることがわかっている」(宮崎部長)。血中レプチン量を測ることで、体脂肪が増えすぎて、“悪玉化”していないかどうかがわかる。

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4人の結果はこちら!
 チョコを食べない日があるなんて何年ぶり?! 最初は不安でしたが、始めてみるとナッツだけで十分満足できました。また、炭水化物抜きの食生活から雑穀ご飯にチェンジ、亜麻仁油入りヨーグルトが定番になったりと、食生活は180度様変わり。
 そのおかげか、2日目の朝から肌はツヤツヤ、化粧のりも快調に。脚のむくみも軽くなりました。さらに、2〜3日に1回だった便通も毎日になって、下腹はなんと5p減! 悪いものがたまっていたのかな。同僚から「やせたね」といわれたのも大満足。いいことずくめでした。

ある日のメニュー
(朝) ミックスナッツ、亜麻仁油入りヨーグルト&プルーン、黒酢、カフェオレ
(昼) 雑穀入り雑炊(亜麻仁油・ショウガ・唐辛子)
おやつ:アーモンド
(夜) モヤシ、サバの水煮缶詰のポン酢あえ(亜麻仁油、唐辛子入り)、ミカン


バナナとプルーン、ヨーグルトに亜麻仁油。
これが定番。





 雑穀、ナッツ、亜麻仁油のトリプル効果でしょうか。たった2週間でへそ下4.4p減なんてすごい! ジーンズがズルズル下がってます(笑)。
 驚いたのは、実験前まで体が冷えて熟睡できなかったのが、朝までぐっすり。冷えが改善した感じ。目覚めもすっきりとして、いつもより疲れにくく感じました。しかも、お通じは1日3回の日も。3日目から変化が感じられました。この方法なら、大好きなお酒も飲めるし、続けられそう! これからも主食は雑穀ご飯にして、ゆっくりのんびり続けていきたいです。

ある日のメニュー
(朝) 胚芽パン、プルーン、ヨーグルト
(昼) エビのアラビアータ
おやつ:クルミ
(夜) ギョーザ(タレに亜麻仁油)、大根とホタテのサラダ(ドレッシングに亜麻仁油)、雑穀ご飯、納豆、かきたま汁、ミカン、ビール500㎖


味噌汁にも亜麻仁油を垂らしてコクアップ。





 今までダイエットしても全然やせなかったのが、今回は体重1s減、へそ下も1p減! 体が軽くなった感じです。乾燥して荒れがちだった肌の調子も良く、顔色が一段明るくなりました。驚いたのは、油を使った料理を食べると胃がもたれることが多かったのが、亜麻仁油やシソ油を使うと胃腸の調子もいいこと。
 また、2週間、食事内容を記入していくにつれ、いかに日々食べすぎているかが身に染みました。食生活を見直すきっかけになったのも、大きな成果です。今後も規則正しい食事を心がけます。

ある日のメニュー
(朝) 雑穀おにぎり、亜麻仁油入り野菜ジュース、納豆
(昼) 春雨スープ、三色弁当、メカブサラダ
おやつ:カボチャの種
(夜) サバの味噌煮、雑穀ご飯、ワカメの味噌汁


(左)これはおいしかった!亜麻仁油入りオイルサーディーンサラダ。
(右)パソコン作業の友はナッツです。




 これまで何をやっても、なかなか落ちなかった下腹が、数字の変化以上にすっきりした感じ。いつもは月経が始まる3日前くらいからある腰痛や腹痛が、今回は初日のみ。しかもかなり軽くて楽でした!
 また、例年この時期は目や口の周りが乾燥して粉を吹き、指の先は切れ、かかとも割れて血がにじむ悲惨な状態になるのに、全身の肌がしっとり。月経前後の肌荒れもなし! 普段の食事をちょっと変えるだけで、こんなに体調がいいなんて。気負わず長く続けられそうです。

ある日のメニュー
(朝) 雑穀ご飯、ウインナーとキャベツ煮、醤油豆
(昼) 牛肉とネギのトマトスパゲティ、ミネストローネ
おやつ:ミックスナッツ
(夜) 雑穀ご飯、肉団子と青菜の煮込み、サツマイモとレンコンのサラダ(亜麻仁油ドレッシング)


亜麻仁入りパンをサンドイッチに。
プチプチ感も◎です。
posted by miu at 17:29| ロサンゼルス ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 栄養 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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